警察OB考察:伊藤市長への今後の捜査
- nasu130324
- 2 日前
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伊東市議選も終わり、今月31日に開かれる予定の市議会で伊東市田久保市長の不信任が再度可決され、田久保市長はまもなく失職を迎えるが、
9月9日に伊東市議会の議長らが虚偽有印私文書行使罪で警察に刑事告訴した捜査は、今後どのように展開していくだろうか、捜査第一課での捜査経験から考察してみた。
1 本件の虚偽有印私文書行使罪とは
刑事告訴された虚偽有印私文書行使罪の告訴事実は「田久保市長は、大学を卒業していないことを認識していながら、今年6月4日に正副議長に対し、偽造した卒業証書を閲覧させ、大学を卒業していると誤認させたもの。」というものである。
2 捜査のポイント
この虚偽有印私文書行使罪の捜査のポイントは、
行使した卒業証書が虚偽作成されたものであること。
卒業証書を行使(提示)した時に、これが虚偽のものであることを認識していたこと。
提示した相手に、虚偽の卒業証書を真実のものとして誤言させる目的であったこと。
である。
3 何を捜査するか?
この告訴捜査で、警察が先ず最初に行う捜査は、田久保市長が行使した卒業証書の入手である。
この物証が存在しないと、捜査は難しい。
これまでの田久保市長の説明だと、弁護士事務所の金庫に保管してあるとのこと。
そして、田久保市長に同席した弁護士は、刑事訴訟法第105条の押収拒絶権によって、警察などの捜査機関に提出しないと説明している。
(1)この提出拒絶件とは
刑事訴訟法第105条
医師、歯科医師、助産師、看護師、弁護士、弁理士、公証人、宗教の職にある者又はこれらの職にあった者は、業務上委託を受けたため、保守し、又は所持するもので他人の秘密に関するものについては、押収を拒むことができる。
ただし、本人が承諾した場合、押収拒絶が被告人のためのみにする権利の濫用と認められる場合、その他裁判所の規則で定める事由がある場合は、この限りではない。
というものである。
果たして本当に、この押収拒絶権で捜査機関の押収を免れるのだろうか?
結論として、この虚偽有印私文書行使罪を捜査するためには、行使された卒業証書が虚偽のもであるか否か確認することが必要不可欠であるから、押収拒否権は認められない。
警察は、これまでの田久保市長の説明を根拠に、弁護士事務所の金庫に保管してある卒業証書を差し押さえる必要性を明確にして、裁判所に捜索差押令状を請求し、裁判官から令状の発付を受けて弁護士事務所に向かうだろう。
弁護士に捜索差押令状を提示して、弁護士自ら金庫を開けなければ、警察は金庫を破壊して中を全部確認するから、弁護士は金庫を開けて差し押さえに応じるしかない。
(2)金庫に卒業証書はあるか?
この金庫内に保管されているという卒業証書について田久保市長は、先日のテレビ番組で司会者から「金庫にあるんですよね」と聞かれ、
7秒間フリーズして答えなかった。
という反応からすれば、既に金庫内の卒業証書は捜査機関が押収していると、私は考察する。
(3)提示した卒業証書の捜査
そして、押収した卒業証書なるものを大学に確認させ、真正の卒業証書で無いことを確認する捜査をする。
ニュースによれば、「大学の卒業式のころ、大学の友人が、卒業できない田久保氏に、ふざけて卒業証書を作って渡したことがある。」
というエピソードもあったようである。
このことが本当のことなのか?
その時に渡した虚偽の卒業証書が、今回、行使された卒業証書なのか?
このことも当然、当時の同級生に対し捜査され、市議会正副議長に提示した卒業証書なるものが、このエピソードのとおりであれば、田久保市長の虚偽卒業証書の認識も立証される。
(4)大学への捜査
ニュース報道によれば、市議会が大学に照会して回答を受けた単位の取得数を確認したところ半分以下であったことから、この単位数では卒業していたと認識するはずがないということで刑事告訴をしたらしい。
当然、警察も大学に対して、田久保市長に卒業していないことの認識があったか否かの捜査が行われる。
市議会が照会したもののほか、大学に残っている田久保市長に関する資料は、全て押収され確認される。
除籍の前に、本人や家族に連絡してあることが資料に残っていれば、それは重要な物証になる。
33年前のことなので、資料が残っていなければ、そのころ大学の学生課で働いていた職員から、残っている資料に基づいて説明を受け、「この資料の内容であれば、当然に本人や家族に除籍されることを必ず連絡してあります。」という供述が得られれば、田久保市長の卒業していない認識を立証することができるだろう。
特に、4年間で除籍となっている事実からすれば、単位の少なさ、あるいは学費の未納が考えられ、本人が卒業を誤認することはあり得ないという説明を受けるであろう。
4 逮捕されるか?
市長や知事、議員の逮捕は、その必要性が慎重に検討して行われる。
逃走の恐れがなければ逮捕せずに在宅で書類送検すれば良いからだ。
今後、田久保市長が失職するとしても、もしかしたら市長選に田久保氏が立候補する可能性があるから、捜査は、選挙に影響しないように行われるであろう。
捜査によって選挙の公平性が失われてはいけないからだ。
9月9日に刑事告訴されて捜査が開始されてから、2か月すれば証拠が揃うのではないかと思う。
上記の捜査から虚偽有印私文書行使罪が立証されれば、これまでの田久保市長の言動から否認していることが認められ、市長の職で無くなった時点で逃走の恐れも認められることから、逮捕などの捜査の着手は
田久保市長が再出馬しないことが確実になった日
市長選に再出馬した場合は落選した日
と考察する。
逃亡する恐れが無く、かつ、罪障を隠滅する恐れが無いなど、明らかに逮捕の必要性が無いと認める場合には、逮捕状の請求を却下しなければならない。
検察庁に地出すると説明していたが、明らかに卒業していないことが判明したのに提出しないことから、その他の罪障も隠滅する恐れがある。
市長という役職ではなくなり、逃走する恐れがある。


