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警察OB考察・闇バイトで凶悪犯罪に加担してしまう若者の心理

nasu130324

1 はじめに

 いわゆる「闇バイト」に加担して凶悪犯罪に加担してしまう若者が後を絶たない現状なのは言うまでもない。

 本年10月~11月にかけて、闇バイトによる多くの凶悪犯罪の発生と実行犯から指示役の検挙が話題となったことから、闇バイトによる凶悪事件は無くなるかと思ったが、いっこうに無くなる様子なく、なぜ、闇バイトによる凶悪事件が無くならないのか?

 闇バイトに応募してしまう若者の心理。その後、犯罪に加担してしまう犯罪の心理を警OBの目から考察していきます。


2 実行犯が多数いるという心理

 闇バイトによる凶悪事件では、「実行犯が数多くいて役割が分担されている」ことが特徴です。

 これは、一人ひとりの「凶悪犯罪に加担している」という罪の意識を希薄にさせることができます。

 例えば、実行犯が4人いて、「ガラスを壊して最初に住宅に入る者」「家人に暴行を加え、金品の場所を聞き出す者」「金品を奪う者」「逃げる実行犯の運転役」に分担されているとしましょう。

 それぞれが指示に基づいて凶悪犯罪を敢行することで、「俺は窓ガラスを割って入ることしか聞いていない」「俺はお金を盗んだだけで暴力は振るっていない」「俺は知らない人を乗せろと言われただけ」という、あたかも凶悪犯罪には関わっていないような心理に陥ってしまうのです。


3 複数で住宅に押し入ることによる、警察・検察の解釈

 強盗事件が発生すれば、当然、犯罪行為は1つなので、犯罪に関わった全ての人が、共同正犯として、強盗事件の犯人として検挙されることは間違いないことでしょう。

 警察や検察の解釈として、「複数で他人の住宅に押し入ること」が、犯罪を敢行する上で役割分担される状況になりますし、役割分担をしている時点で犯罪の計画性を裏付けることにもなるのです。

 私も現役時代に緊縛強盗事件を担当し、実行犯の内の1人の取調べをしましたが、犯人は一貫して「俺は被害者を縛ることは知らなかった。他の奴が勝手にやった」と供述していましたが、その言い訳が裁判官の心象を悪くし、厳しい判決を受けたことがありました。

  

4 まとめ

 私は、複数の実行犯による凶悪犯罪を多く担当してきました。多くの犯人は「この行為に関しては、俺は知らなかった。他の奴が勝手にやったことだ。」と言い逃れをしようしますが、そのような見苦しい言い訳は検察や裁判官の心象を悪くさせ、「複数で悪いことをしたのに反省の色がない」と思われてしまうのです。

 また、日本の刑法第60条には「共同正犯」の規定が明記されており、「犯罪に関与した全員が正犯として扱われる」とされています。今の日本の法律ではどんなに役割分担がされていても厳重に処罰されることは間違いないのです。

 複数で凶悪犯罪を実行すると、自分一人は、その一部分を担当したのだから知らなかったなどと、罪が軽くなると思うことは大きな間違いであることを理解し、高額報酬という騙し文句に引っ掛かることなく、「闇バイト」で犯罪に関わらない勇気を持ってもらいたいです。

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