1 ポイントとなる事実関係
タレントのヒロミさんの投稿によると、昨年、中居さんの家で芸能人や女性アナウンサーらでBBQをやったのは、5月31日
「週刊文春」による女性Xさんの説明だと、翌月の6月に中居さんに誘われて1人で中居さんの自宅を訪問した。
この時にトラブルが発生して、女性は、医師の診察が必要になる精神的ダメージを負った。
フジテレビは、この女性が社員であることを公表していないが、昨年の8月に港社長に報告が上がっていること、女性から職場に復帰したいという希望を聞いたことなどから、フジの社員であったことは間違い無いでしょう。
2 27日フジ会見でのポイント
なぜ、社内の他役員、コンプライアンス担当部署と情報共有しなかったのか?の質問に
港社長は、事案を公にせず、他者に知られずに仕事に復帰したいとの希望を聞いたことから、心身の回復とプライバシーの保護を最優先に対応した、会社としては極めて秘匿性の高い事案として判断した。と、綺麗ごとを繰り返した。
また
番組が終わった後の打ち上げなどで、いろんな方々と女性アナを含めた飲み会から今回のトラブルに発展しかねない種になっていた可能性はあると考えたりしますか?
の質問に対して
「あります。」
と回答し、港社長は、番組の打ち上げとかで女性アナウンサーと芸能人が親睦を深めることは、やってきていたと説明している。
3 この事案対応の一番の問題点
昨年8月に港社長に報告が上がった時の、社長の判断である。
これが全てである。
大きな会社でほ、事案発生時の報告要領が定められている。
フジテレビともなれば、間違いなく、事案の種類ごとに速やかに情報共有するべき役員などが定められているはずである。
港社長は、この社内規則を破って、コンプライアンス担当役員などに情報を共有することなく、自分ひとりでこの事案に対処することとしたのである。
これは、大きな問題である。
当然、社内規則違反として懲戒処分の対象となるでしょう。
それよりも、精神的なダメージを受けた社員のことを、必要な役員や部署に情報共有しなかったことは、女性の職場復帰に大きな弊害となったことは間違いない。
結果として、女性は1年後に退職することとなった。
例え女性から、他者に知られずに職場に復帰したいと言われても、本当にその社員の希望を叶えてやりたいと思うなら、「貴女の希望を叶えるために、秘密を徹底して、必要最小限の幹部には情報を共有して、貴女をバックアップしていくからね」と対応することが、大手民間企業の常識である。
4 なぜ、港社長は他の役員に情報共有しなかったのか?
犯罪者の心理から考察しましょう。
それはフジ会見の問答の中に
番組が終わった後の打ち上げとなどで、いろんな方々と女性アナを含めた飲み会から今回のトラブルに発展しかねない種になっていた可能性はあると考えたりしますか?
との質問に
「あります」
と答えていることから分かるように、いくら成人男女の問題であっても、港社長は、報告を受けて、上記のことが想像できたわけである。
もしかしたら、社員Aの関わりも想像したかもしれない。
女性アナを呼ぶことには長けているわけであるから。
若い女性アナが、自分だけの力で、中居さんと親しくなることはあり得ないからだ。
本件は、例え成人男女のプライベートな問題であっても、会社と関わりのある芸能人と社員とのトラブルで、社員が病んでしまっているのであるから、絶対に会社の必要部署と情報共有して、会社として対処すべき事案であった。
5 なぜ?港社長は、他役員に情報共有しなかったのか?
それは、前述のとおり、この事案の発端である芸能人と女性アナウンサーとの飲み会は、自分が作り上げてきたフジテレビの文化だからである。
女性社員を飲み会の花との考えは、もう、他の企業ではやってはいけないことである。
女性アナウンサーの知識、経験と称して、自分が作り上げてきた女性アナウンサーを飲み会に誘う文化。
自分の誕生会も、女性アナウンサーに囲まれて、さぞかし楽しかったであろう。
その悪しき文化によって、もたらされたこの事案を、港社長は、他役員に情報共有することによって、「それ、港社長がやってきたことでしょ」と一笑され、自分が失脚するネタになることを恐れたのでしょう。
この事案に、港社長が直接に関わっていないとしても、社内で自分の責任を問われることを恐れ、女性が他者に知られたくないと言ったことを良いことに、この事案を会社として対応することなく、闇に葬ったのである。
今は、辻褄が合うように綺麗ごとを言っているが
昨年、女性社員が退社した時には、内心、ホッとしたのではないだろうか。
それが、長年、犯罪者の心理と関わってきた警察OBの考察である。
危機管理は、これから起こるかもしれない危機を想像し、後から検証を受けても自分に非がないようにしておくことである。
